リフォームするとき知っておきたい補助金制度・減税制度と活用方法

リフォームは人生の中で最も大きな買い物の1つです。

多くの場合、住宅ローンを組むことになると思いますが、
利用年に応じて所得税の減税措置を受けることが可能であるほか、
国や自治体はリフォーム内容に応じて補助金を出す事業を展開しています。

本記事では、リフォーム時に使える減税や、補助金について解説します。

リフォームの減税・補助金制度とは

減税について

 減税措置を適用するには、まず、どんな税金が対象となるか、
どんなリフォームが対象になるかを理解する必要があります。

対象となる税金は、「所得税」「固定資産税」「贈与税」「登録免許税」「不動産取得税」の5つです。
それぞれに関係するリフォームの内容は「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化」の5つがあります。
 
ほとんどの方は、所得税固定資産税に対する減税となります。

所得税と固定資産税の2つを組み合わせる併用はすべて可能です。
まずは、どんな制度があるか、自分が実施するリフォームはどれかを把握しましょう。

減税対象の税金

所得税(控除)

1月1日から12月31日までの個人所得に課税されます。
制度は3種類です。

①投資型減税
ローンの利用に限らず利用できます。控除期間は1年間です。

②ローン型減税
5年以上のローンを利用する場合に利用できます。控除期間は5年間です。

③住宅ローン減税
10年以上のローンを利用する場合に適用できます。控除期間は10年です。

固定資産税(減額)

地や建物の、1月1日時点の評価額によって課税されます。 
リフォームを行った住宅に対して減額されます。

贈与税(非課税措置)

個人が受けた現金などに対して課税されます。 

登録免許税(特別措置)

登記などに対して課税されます。

不動産取得税(特例措置)

不動産の取得に対して課税されます。 

減税の条件となるリフォームの内容

所得税と固定資産税に関係する5つのリフォームの概要について解説していきます。

①耐震リフォーム


大地震や中規模の地震が発生した場合でもひび割れ程度で済んだり、
倒壊したりしないようにする工事です。
基礎の補修や壁の補強、土台、柱下の改善などがあります。

所得税の投資型では最大25万円、固定資産税では2分の1を減額できます。

現行の耐震基準に適合する耐震改修工事であることや、
費用が50万円を超える必要があります。

②バリアフリーリフォーム


トイレの改良、滑りにくい床材料に取り替え、浴室の改良、段差の解消などが該当します。
浴室を例にとると、床面を滑りにくくしたり、入口の段差をなくしたりすることです。

所得税の投資型では、最大20万円、ローン型では62.5万円の控除を受けられ、
固定資産税では3分の1を減額できます。

工事の実質負担金額が50万円を超えることや、
新築から10年以上経過した住宅であることなどが要件です。

③省エネリフォーム


全居室の窓の断熱工事、床や天井の断熱工事、太陽光発電設備設置などが該当します。

所得税の投資型では最大25万円(太陽光発電設備設置の場合は35万円)、
ローン型では62.5万円の控除
を受けられ、
固定資産税では3分の1を減額できます。

工事の実質的な負担金額が50万円を超える必要があります。

④同居対応リフォーム


三世代が快適に生活できるようにする工事で、
トイレ、玄関、浴室、調理室などの増設が対象になります。
最低限の調理設備のあるミニキッチンや、浴槽がないシャワー専用の浴室でも可能です。

所得税の投資型では、最大25万円、ローン型では62.5万円の控除を受けられます。
固定資産税は対象となりません。

⑤長期優良住宅化リフォーム

住宅の長寿命化や省エネ性能向上を目指したリフォームが対象となります。

具体的には、浴室や脱衣所の防水性を高めたり、
給水管や給湯管、排水管の維持管理を簡易にしたり、
雨どいを軒、外壁に取り付けたり、
小屋根裏の換気性を高めたりする工事が該当します。

所得税の投資型では、省エネと耐久性向上を実施した場合に最大25万円
耐震性向上の工事まで実施すると最大50万円の控除が受けられます。
固定資産税では3分の2を軽減できます。

木造、鉄骨、鉄筋コンクリートなど住宅の造りによって必要な工事内容が変わるため、注意しましょう。 

補助金


 補助金の給付は、国によるものと、自治体によるものがあります。

国では「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の一環で、
住宅の長寿命化、三世代同居などを実現するためのリフォームに対して費用の一部を支援します。

平成30年度の事業は締め切られていますが、
平成31年度についても、実施予定となっています。
(2019年3月時点)

地方では、耐震改修で「住宅・建築物安全ストック形成事業」を実施するほか、
要支援や要介護の認定を受けた方の住宅改修に対し、
介護保険法に基づいて支給されます。

詳しくは、自治体のホームぺージなどを参照してください。
自治体の補助金制度については、
住宅リフォーム推進協議会の「住宅リフォーム支援制度検索」が参考になります。

本記事では、国による事業について解説します。

事業への申請は、施工業者などが行い、補助金を受け取るのも業者となります。

リフォームを実施する人は、その還元を受けることとなります。
制度自体が複雑なため、補助金の額や補助の対象などを把握するにとどめ、
申請については業者に依頼しましょう。

補助の対象となるのは、
・「性能向上」(耐震性や省エネルギー対策)
・「三世代同居対応工事」(キッチン、浴室、トイレ、玄関)
・「住宅診断や住宅履歴情報の作成」

などに必要な費用です。

補助率は、補助対象費用の3分の1です。
補助の限度額は一定の性能向上が認められた場合は100万円、
長期優良住宅認定を取得した場合は200万円、
長期優良住宅認定と省エネルギー性能を高めた場合は250万円となります。

制度の申請の流れ

減税

必要書類は多岐に渡ります。
施工業者に減税を受ける旨を伝えておき、必要書類を確認して、用意してもらうようにしましょう。
自分たちで取りに行くものもあるので、事前に相談して把握しておきましょう。

①契約前


どの減税制度利用ができるかを業者に確認してください。
工事内容やスケジュールが要件の対象になるかどうかが大切です。
次に申請書類や提出までの期日を確認しましょう。

②契約時

請負契約書、領収書の写しを保存しておきましょう。

③証明書など必要書類の準備

ほとんどの場合、増改築等工事証明書、工事請負契約書の写し、
住民票、源泉徴収票、確定申告書
は必須です。

書類を受け取りに行く相手は、
施工会社、建築士、税務署、法務局、自治体、勤務先、ローンの借入先と書類によって変わってきます。

リフォームや減税の内容によっては、
住宅改修証明書、増改築等工事証明書、介護保険の被保険者証の写し、ローンの年末残高証明書が別途必要です。

必要書類について詳しく知りたい方は、
国土交通省のHP「住宅のリフォームに利用可能な税制特例」をご参照ください。
PDF資料にわかりやすくまとまっています。
  

④工事完了後

必要書類は、税務署や市区町村に提出が必要になります。

補助金

「事前採択タイプ」「通年申請タイプ」の2つがありますが、施工業者などが申請を行います。

概要は、
「事前採択タイプ」の場合、業者が事業提案をし、審査を受け、国に採択されます。
その後、業者が交付申請を行い、交付が決定してから工事に着手することになります。

「通年申請タイプ」は、国の採択を受ける必要がなく、すぐに交付申請を行うことができます。

リフォーム費用の相場

 リフォーム相場は、工事のレベルや性能、
見た目にどこまでこだわるかによって変わってくるため、
はっきりと断言することはできませんが、
リフォーム対象となりやすい、水回りに限ればおおよそ下記のような価格となります。

キッチン:100~150万円
浴室:50~100万円
トイレ:5~50万円
洗面台:10~50万円

内装だけの場合は少額で済むケースが多いです。
設備の取り換えや面積を広げるとなると、多額の費用がかかってきます。

経験者に聞いてみた:リフォームの心構え

リフォームは理想を実現しようとしても、資金面や住宅の構造上、妥協する箇所が必ず出てきます。
ですが、代替策が見つかる可能性もあります。
相談することの大切さについて、リフォーム経験者に話を聞いてみました。

 2017年の春にキッチン、リビング、浴室、トイレ、二階の子供部屋のリフォームを行ったご夫婦(50歳代)の声です。

「2階の荷物を自動で下ろせる設備を検討したが、資金的にできませんでした。
その代わり、階段に手すりを付けたり、段差を小さくしたりして楽にものを運べるようになりました」

「オール電化で、システムキッチンも希望したが、見積りで予算を大きく上回りました。
ですが、優先度の高い部分だったので、ほかの材料のレベルを落としたり、 
必要のないキッチンの機能を外したりして対応してもらいました」

「夫婦共に身長が低いので、キッチンの上にある棚の利用が不便でした。
オプションにない機能だったのですが、棚の方を下に引き寄せる可動式にしてもらうことができました」

など相談の大切さを実感したようです。

経験者の声から、相談の仕方として大切なのは、現状の課題を伝えることです。

例えば「身長が低い」「足が悪い」「収納スペースが少ない」などです。
「〇〇が欲しい」のように物や機能ベースで相談してしまうと、課題が見えにくくなってしまいます。
後になって、欲しい設備は手に入ったが、使いにくいという状況になる可能性があります。

使い勝手が悪かったり、不要な機能だったりは最終的に生活してみないとわからないものもあります。
しかし、プロに課題を相談することで、より高い満足度を得られるようになります。
自分では思いもよらない解決策を提案してもらえることもあるのです。

また、可能であれば、大工さんへの差し入れも実践したいです。
夏場はアイスクリーム、
冬場は温かいコーヒーなど軽いもので良いので差し入れをすると、よりモチベーションがアップします。
関係性も良好になるので、相談や融通も利かせてくれるかもしれませんよ。

まとめ

国や自治体の制度では、減税、補助金を受けるために必要な書類を集めるだけで一苦労です。
しかし、一生に一度の買い物と考えれば、念入りに準備をして最高の買い物にしたいものですよね。
本記事で制度の概要をおさえ、リフォームの内容決めや相談の材料にして快適な生活を送ってください。