日本で増え続ける老朽化マンホールと大雨=マンホールの蓋が急に吹き上がる事故が多発!

自治体ごとに個性的なデザインが採用され、熱心なファンもいる「マンホール」
普段はあまり気にかけることもない存在ですが、実は今、日本各地で老朽化したマンホールが問題視されているのをご存知ですか?
近年、大雨や豪雨が増えてきた日本で度々起こっているのが、雨による増水でマンホール内の空気圧が高まり、マンホールの蓋が吹き飛んでしまうという事故です。

こうした事故は、マンホールの蓋の老朽化がひとつの原因となっています。
今回のブログでは、マンホールの蓋の老朽化問題について解説したいと思います。

マンホールのトラブル!排水が一気に吹き出す!?

大雨などの水害が発生した際、マンホールの蓋が飛び、排水管の中の水が高く吹き上がるという事故が毎年必ず起こっています。
映画でしか見たことのないような、水が高く吹き上げる様子がテレビに映り、驚いた経験があるのではないでしょうか。
自分がその近くにいて、落ちてきたマンホールの蓋とぶつかったり、水を被ったりしては大変ですよね。
ですが、このような事故は今日本のどこで起こってもおかしくはないのです。

老朽化したマンホールの危険性

まず、水害時にマンホールの蓋が外れてしまうメカニズムを説明します。

マンホールの蓋を外すと、縦に深いトンネルが現れます。
(このトンネルがマンホールと呼ばれる空間です)

このトンネルを降りた先には大きな排水管が通っていて、私たちの生活排水や雨水が流れている状態です。

平時であれば排水管いっぱいに水が溜まることはありませんが、局地的な大雨などで一気に水かさが増し、
排水管の上部スレスレまで水が溜まることがあります。

排水管の中が水で満たされると、排水管の中の空気が逃げ場を求め、マンホールの蓋につながるトンネルの部分に空気がたまります。
圧縮された空気がマンホールの蓋を持ち上げ、圧に耐えきれなくなった蓋が外れ、排水管の中の水と圧縮された空気が一緒に飛び出すのです。
これが、噴水のように水が吹き出すメカニズムです。

比較的新しいマンホールの蓋は、こうした圧力に対する安全装置が取り付けられていて、内部の空気圧が高まった時点で
わざと蓋が持ち上がるようになっており、中の空気を逃す仕組みになっています。

しかし、こうした安全装置のない旧式の蓋は、空気を逃すことができないので、限界まで圧縮された空気の圧を直接受けてしまい、
いきなり外れてしまうことになるのです。
安全装置がついていない上に、長年使用されることで蓋の上を車などが通って薄くなったり軽くなったりするのも、蓋の耐久性が落ちている原因です。

マンホールの点検の実情

マンホールの蓋は全国に1,500万枚あり、自治体により5年に一度の頻度で点検が行われています。
しかし、そのほとんどは目視による点検です。
多数あるマンホールの蓋をひとつずつ丁寧にチェックするのには限界があるのでしょう。
(劣化しにくいマンホール蓋については、10年周期で点検されるものもあります)

こうした事情を踏まえ、新しい取り組みを実施する自治体も出てきました。
東京都渋谷区、石川県加賀市、静岡県三島市などで開催された「マンホール聖戦」というイベントです。

このイベントでは、市民がマンホールの蓋を撮影してネット上にアップできるアプリを使い、マンホール蓋の写真を集めます。
ゲーム感覚で集められたマンホールの蓋の写真を、自治体の担当者がチェックします。

市民の目線から「マンホールの模様が薄くなっている」「錆びている」など意見をもらうことで、
重点的に点検すべきマンホールの蓋の割り出しの役に立っているそうです。
将来的には、集まった写真にマンホール蓋の劣化基準をあてはめ、マンホール蓋の刷新や重点点検をAI判定できることにつなげる狙いもあります。

このような取り組みは、自治体にとっては効率的にマンホールの点検を行うことにつながり、
市民にとっては自分たちの生活の安全への意識を高められ、win-winの関係でいられる上、
行政と市民の双方向的な繋がりができるという点でも良いですよね。

まとめ

私たちの知らないところで、マンホールの劣化は着々と進行しています。
年々増える大雨災害と、マンホールの劣化の組み合わせは市民生活にとってよくない事態を引き起こしかねません。
自治体側の対策に任せるだけでなく、ふとした瞬間にマンホールの異常を感じたら自治体に申告したり質問するというのもいいかもしれませんね。