【後編】もしもの時の水害に備えてできること

避難するとき・水害に遭ったときの対応を知っておこう

前回は普段からできる水害への備えをご紹介しました。

後編では、いざ台風や暴風雨が接近したときの過ごし方や、
避難するときの注意点をご紹介します。

また、水害に遭った後の対応も知っておくと、補償などの点で損をしないことにもつながります。
順に見ていきましょう。

台風・暴風雨がいよいよ接近!当日の過ごし方

ニュースなどで、お住いの地域に大型の台風や暴風雨が迫っていると分かったら、
どう過ごして、どう行動すれば良いのでしょうか。

情報をこまめにチェック!室内での過ごし方の注意点

学校や職場との調整は前日までに済ませて、
台風接近の当日は、不要不急の外出を避けるようにしましょう。
増水しているので、河川や用水路の付近には絶対に近寄らないでください。

風が強くなってきたら、窓に近寄らないようにしましょう。
万が一、飛んできた物があたって窓が割れたときには、
絶対に割れた窓には近寄らず、反対側の窓やドアを少しだけ開けるようにしましょう。
強い突風が吹き込んだときの風圧で、屋根や天井が破壊されることを避けるためです。

暴風が落ち着くまで、風呂場やトイレなど、頑丈な作りの場所に避難して過ごします。

テレビやラジオ、自治体のサイトや気象関係アプリなどで、
最新の情報をこまめに確認するように心がけましょう。
特に避難情報に注意しておいて、大雨が降るようなら早めの避難を考えてください。



大雨のなかでの避難には危険もある!避難時の注意点

避難にあたっては、避難のタイミングと服装が重要になります。
動きやすい服装にレインコート、荷物はリュックで背負って、両手を自由に使える状態にしておきましょう。

さらに、長靴よりも履き慣れた靴のほうがおすすめです。
長靴を履いていると、水が中に入り込んで、動きにくくなってしまいます。

台風の接近や大雨のピークが夜間に予想されているときは、避難のタイミングの判断が難しくなります。
夜間は周囲が暗いうえに、大雨で歩きにくかったり、道路が崩れていたりして、歩行がかなり困難になるのです。
夜間の避難はとても危険なので、昼や夕方など早めの時間帯に避難するようにしましょう。


いざ逃げるときには、電気のブレーカーを切っておくほうが安心です。
台風で停電が発生することもありますよね。
電気が復旧してから水に濡れた家電製品に通電して発火した、などのケースもあります。
忘れがちですが、二次被害防止のために行っておきましょう。

避難所に向かうときには、河川から離れた高い道路を使います。
氾濫した水は濁っていて路面が見えにくくなっています。
水の勢いも強いので、歩き慣れた道でも予想以上に歩きにくいと感じることがあります。

冠水している道路を歩くことは、極力避けてください。
もし冠水している道路を歩くことになったら、路面が見えづらく、側溝や蓋が外れたマンホールにはまる恐れがあるので、
長い棒や傘などを杖替わりにして、足もとを確認しながら慎重に移動しましょう。

自動車で避難しようとする人もいるでしょう。
しかし、浸水30センチ以上になると、自動車のエンジンは停止してしまいます。
浸水50センチともなると、自動車ごと流されてしまうというケースもあり、怖いですよね。

自動車で逃げる際には、水がたまった場所に進入することが危険であると知っておく必要があります。
自動車で水たまりに進入したら意外に深くて、水圧のせいでドアを開けられないケースもあるのです。

ハンマーで窓を割るという方法はありますが、
特に高齢者の場合、窓から脱出することが難しいこともあるので注意しましょう。

避難のタイミングと避難に遅れたときの対処法

避難のタイミングの判断は難しいものですが、目安として

・浸水前に避難する
・暗くなる前に避難する

を覚えておくといいですね。

水が膝上まできている場合は、もはや避難すること自体が危険になります。
遅くとも浸水10センチまでに避難を開始してください。


もしタイミングを逃して避難に遅れてしまった場合は、地下や1階は避けて、自宅等の上層階へ移動するようにしましょう。
土砂災害の恐れもあるので山側の部屋は避けて、垂直避難を心がけます。

マンションなどに住んでいるなら、無理に避難しなくてもいいケースもあります。
住んでいる地域や建物の状態に合わせて、判断していきましょう。



水害に遭った!やるべきことや注意点を知っておこう

水害は、雨や風が強いときだけのものではありません。
暴風雨によって家屋が損壊したり、
家財が被害を受けることもあります。

そんな時はどう対応すればいいのかも、頭に入れておきたいものです。

被害状況を写真に撮ろう!


残念ながら自宅などが水害に遭った場合、
途方にくれてしまいそうですが、必ずやっておきたいポイントを押さえておきましょう。

まずは被害状況を証拠に残すことが大切です。
片付けの前に被害の程度がわかる写真を撮っておけば、
あとで支援や保険金を受ける際に役立つので、できるだけ鮮明な写真を残しておきましょう。

写真を撮る際には、できるだけ建物の外側4方向から撮影しておきます。
どのくらいまで浸水したのか、ものさしや巻き尺をあてるなどして、高さまで分かる写真を撮るといいですね。
割れた窓ガラスなど室内の破損箇所、泥や汚水の広がり、家電製品の状態なども撮影しておくことが必要です。

被害の報告と罹災証明の申請を忘れずに!

次に、自宅の施工会社またはマンション管理会社や大家への連絡を行います。
浸水したことやおおよその被害状況を伝えましょう。

火災保険や共済などに加入しているでしょうから、保険会社にも連絡が必要です。


さらに自治体で罹災証明書の発行を受けましょう。
罹災証明書があれば、あとで公的な支援を受けるときに役立ちますよ。

被害の証拠写真がなくても申請できることもあるので、あきらめずに相談してみてください。
また、住宅修理のために支援制度が使えるかどうかも確認しましょう。

水に濡れた自動車や家電製品は危険!

片付けや修繕の注意点
水害の後に大変なのは、片付けですよね。
電気、ガス、水道が使えるかどうか点検しましょう。
電気ブレーカーが落ちているときには漏電の恐れがあるので、電力会社に相談してください。

片づけを行う際には、マスクやゴーグル、ゴム手袋などを使い、肌を露出させずに作業しましょう。

浸水した床や壁で注意したいのは、しっかり換気しないと内部にカビが発生する恐れがあることです。
見た目はなんともなくても、内部では湿気を含んでしまっていることもあります。
面倒でも床下の泥を掻き出してから消毒して、乾燥までさせることが必要です。


水に濡れた家具のうち、畳や布団はもう使えないものになります。
いらないものを廃棄するときに注意したいのは、ゴミ出しのルールがいつもとは違っていることが多いことです。
自治体からの情報を確認して、ごみ捨てのルールに従って処分しましょう。

濡れた自動車や農機具には絶対にエンジンをかけないようにしてください。
修理を待つことになりますが、しばらく乗らないときには盗難防止のために、車検証やナンバーを外しておきましょう。

水に濡れた家電製品を使うと漏電する恐れもあるので、電源を入れないようにしてください。
再び使用できるかどうかは、メーカーや販売店に確認してから使いましょう。
壁のコンセントは家具などを動かして、風通しをよくして乾かし、専門業者に相談してください。

自力での片づけが困難なときには、自治体やボランティアセンターなどに相談してみるといいですね。
ボランティアの派遣を頼れることがあるかもしれません。

災害に便乗した詐欺や天候の変化に注意!


大変に残念なことですが、災害に便乗した詐欺や犯罪が発生することもしばしばあります。
「屋根を格安料金で直してあげる」「動かない自動車を無料で処分します」といった内容に惹かれて
悪質な業者と契約してしまうと、あとでトラブルになることがあるんです。

業者がやってきても、その場ですぐに契約しないようにしましょう。
自治体から注意喚起がなされていることもあるので、確認するといいですね。


台風が去っても、油断はできません。
大雨で地盤がゆるんでいるので、土砂災害の危険があります。
再び天候が悪化することもあるので、引き続き気象情報には注意しておきましょうね。



まとめ

大型の台風は、短時間でも深刻な被害を出すことがあります。
普段からの備えに加えて、必要に応じて早めの避難を心がけるようにしましょう。

いまや生活に欠かせないインターネットは情報収集や共有に役立ちますが、デマも広がりやすいですよね。
親切心で拡散された情報が、根本的に間違っていることもあります。

緊急の時ほど、信用できる情報を選び取ることが大事になります。
気象庁、各自治体などから最新の情報を得るよう心がけてください。

家族でハザードマップを活用し、危険な場所や避難所の場所を抑えておくのもおすすめです。

普段から使いやすい災害対策のアプリや、信頼できる気象関係のアプリなどを活用して、使い慣れておきましょう。