水道管塗料のデータ改ざん!市民の安全を脅かす不正行為が明るみに。

2022年がスタートしてすぐ、水道業界が騒然とした事件が起こりました。
それが、「水道管の塗料に関する不正行為」です。
あまり大きなニュースにはなりませんでしたが、水道業界、ひいては市民生活に大きな影響を与える内容でした。

今回のニュースをまとめつつ、水道管の塗料の安全性について考えてみました。

ニュース概要

2022年1月、兵庫県にある塗料メーカー「神東塗料」の
水道管に使用する塗料についての不適切行為があったと報じられました。

具体的には水道用ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗料について、
日本水道協会に提出する品質試験のデータを偽装した疑いがあったとのことです。

自治体が水道工事を行う際には、日本水道協会の規格認証を取った製品を使用します。
この規格認証を受けるにあたり、神東塗料が提出した塗料サンプルは、協会の認証外の原料が使用されていた上に、
協会が定める検査条件より高温で乾燥・さらに水洗いしたものであり、
検査をクリアするためにわざとサンプルに細工をしたと疑われています。

水道管の塗料とは?

そもそも、水道管の塗料とは一体何なのでしょうか?

水道管は、素材(鋳鉄)が剥き出しになっているのではなく、
劣化や破損、漏水を防止するために、表面に塗料が塗られています。

水道管の中は水道水が通っているわけで、私たちの口に直接入るものですから、
当然、水道管に塗られる塗料には安全のための規定が設けられています。

今回不正行為が起こった塗料が塗られていたのは、

・水道管の外側
・水道管の受け口

です。

受け口とは、水道管同士のつなぎ目部分に該当し、水道水と接する場所です。
そんな場所に、規格外の塗料が塗られていたわけですから、この問題の深刻さが伺えますよね。

一連の報道の経緯

さて、今回の報道について、時系列で追ってみましょう。

2021年10月:
神東塗料の内部通報により、不正行為が判明。
社内で実態調査が行われる。

2021年12月:
神東塗料から日本水道協会へ報告。
日本水道協会から、水道管メーカーに対し「神東塗料の該当する製品を使って製造したダクタイル鋳鉄管の出荷自粛」を要請。
※自粛対象は、水道管の外側(水道水と接しない部分)に塗料を使用したものも含む。

2022年1月:
神東塗料から公式に「塗料に関する不正行為」が発表される。
日本水道協会が神東塗料に立入り検査。
該当する製品に安全上の問題はないと判断し、出荷自粛を解除。

2022年2月:
日本水道協会による最新のレポート(2022年2月4日分)によると、水道管の出荷自粛は順次解除。

日本水道協会に報告されてからの動きはかなりスピーディーだったと言えます。

今の状況

今回の不正行為を受け、各自治体には混乱が広がりました。
不正に該当する塗料を使用していた工事が一斉に中断され、その後ほとんどの工事が再開されたものの、
まだ安全が確認されていない塗料を使う工事は中断されたままのようです。

2022年2月4日時点で、一部のメーカーの水道管・仕切り弁などで出荷自粛が続いており、
水道事業者、メーカー、施工現場など、様々な場所で影響が尾を引いています。

安全性の確認された製品から順次出荷が再開されるとのことですが、
完全に収束するまでは今しばらく時間がかかりそうですし、
何より水道工事の遅れによる市民生活への影響が一番懸念されることですよね。

まとめ

水道管は、地中に埋まっていて目にする機会はありません。
しかし、私たちの身体に入る水道水はその水道管を通ってきています。
安全基準を無視した材料が使われていては、安心して水を使うことができませんよね。

このような事件は氷山の一角かもしれません。
今回の不正行為が明るみに出たことで、似たような不正行為への抑止力が働くことを願います。