【後編】東京都水道歴史館に行ってきた!
東京都文京区にある「東京都水道歴史館」の訪問レポ記事【後編】です。
前編はこちらから
前編では、江戸時代にどのような上水整備事業が成されていたのか、
どのような配管を使用していたのか、をメインにお伝えしてきました。
後編では、引き続き江戸の暮らしぶりをご紹介したあと、
時代の移り変わりとともに水道がどのように進化してきたのかをまとめていきます。
目次
江戸時代の水と暮らし
資料館では、江戸時代の暮らし・水の使い方が、ミニチュアやアニメ、遺跡の写真などで紹介されています。
共同の井戸から水を汲み上げる
江戸の町に運ばれてきた水は配管によってどんどん分岐し、
人々は「上水井戸」と呼ばれる縦長の桶から必要な水を組み上げていたそうです。
(現在の汐留エリアで出土した遺跡。四方へ分岐している)
都市開発などで江戸時代の水道設備が出土することが多いようですが、
こんな水道管が江戸中に張り巡らされていたことを考えると、感動してしまいます。
(本管から細い管で分岐し、上水井戸につながっていますね)
(あ、なんだかこの風景、時代劇で見たことある気がする!)
絵だけでなくミニチュアや模型があると、より一層当時の風景が思い浮かびやすいですよね。
上水は河川の上を通ることもある!
上水が河川や堀の上を通るときは、「懸樋(かけひ)」という水道橋が設置されていたそうです。
(「懸樋(かけひ)」 川にかかった橋のようなものの中を、水が流れている)
…いやいや、簡単に言ってしまいましたけれど、こんなものまで作ってしまう技術があったんですね!
ミニチュアの左のほうに、懸樋の中をのぞき込んでいる人たちがいますが、メンテナンスしているのでしょうか?
資料によると、こういった水道設備のメンテナンス・維持管理には相当なコストがかかるため、
水道を利用している人からは「水銀(みずぎん)」、今でいう「水道料金」が徴収され、水道維持の資金になっていたそうです。
(お金のほかに、米での支払いも)
江戸時代の暮らしぶりが分かる展示
ミニチュアばかりではありません。
当時の暮らしぶりを再現した大掛かりな展示もあります。
(実はこういう展示が大好きな私。わくわくします)
(生活音のBGMまで流れていて、本格的でした)
(ここで水を汲んでいたんですね)
江戸時代の暮らし方(お風呂、洗濯など)がどんなものだったか、アニメで解説してくれるコーナーもありました。
(寄席風の解説で楽しい)
試しに「風呂」を聞いてみましたが、江戸時代の人もお風呂は大好きだったようです^^
時は流れ、近代水道への道が開かれる
長かった江戸時代の展示は一旦終了。
江戸時代に作られた水道設備は劣化による水質低下が止まらず、
加えて流行病の「コレラ」にも悩まされており(汚染された水が原因)、水道設備の近代化が早急に求められていました。
外国人技師の助言もあり、近代的な水道管理の技術が少しずつ広まっていきます。
(お手本は西洋)
(金属製の水道管へ)
このあたりから急に現代っぽい雰囲気になってきて、
ついさっきまで木の水道管にはしゃいでいた私は少々面食らいました…。
(さっきまで木だったのに、あっという間に金属になってしまった)
浄水場も作られ、現在に続く水道事業の礎が出来上がっていったのでしょう。
(浄水場模型)
東京の街には消火栓や水飲み場(牛馬用・犬猫用・人間用)が配置され、より快適で便利な都市生活の基盤が整っているようです。
(防災も大切な要素)
水道管を結ぶ器具や方法も、現代に近い形で驚きました。
(素材が変わっているだけで、今も使っているものばかりです)
水道の普及、ダム、浄化システムの確立…
一般家庭にも専用のお風呂が設置されるようになったころのミニチュア展示などもありました。
(子供がお風呂ではしゃぎたくなるのは、今も昔も変わらない)
(今では当たり前のことも、当時は画期的な出来事だったに違いありません)
どんどんと時代がくだってゆき、人口が増加の一途を辿る東京。
安定的に水を供給するため、ダムの建設も進められます。
東京都いう大都市を支えるための巨大な設備。
東京都民として、こうしたインフラや地方の協力によって生活が支えられていることを忘れてはいけないなと感じます。
(水の高度浄化システム)
今でこそ蛇口をひねればすぐに使える水ですが、江戸時代からさかのぼって勉強すると、奇跡のような出来事ですよね。
先人の知恵と努力の厚みを感じずにはいられません。
ほかにも、現在使われている水道管の実物が置かれていたのですが、
(この存在感たるや…)
写真では伝わりづらいかもしれませんが、一番大きなもので直径約3メートルもあります。
さすが水道本管!圧倒的存在感です^^
生活に役立つかもしれないミニ知識も紹介されていました。
(水を使っていないのにメーターのコマが回っていると、漏水しているかもしれません)
(プロが使う道具です。漏水音を聞き取るために使います)
現在開催中の「近・現代の木製水道管」展
2020年6月6日(土)〜7月5日(日)までの日程で、大正〜昭和初期に実際に使用されていた木製の水道管が展示されています。
鉄管が主流になってからも、ごく一部の地域では木製の水道管が現役だったようです。
(丸くなっている!)
(再び古い木製の水道管が現れて、ちょっとした安心感を抱きました(笑))
(日程の合う方は、ぜひどうぞ^^)
おまけ
現地では「東京のおいしい水」が飲み放題です(笑)
マイボトルか、受付でもらえる紙コップで試飲してみましょう^^
(これからも、ありがたく飲ませてもらいますね)
まとめ
いかがでしたか?
かなりボリュームのあるレポになってしまいましたが、写真たっぷりで楽しく読んでいただけたのではないでしょうか。
アクセスのよい場所にあり、館内も落ち着いていて、とても良い歴史館だなぁと感じました。
水道に携わる者として知っておいて良かったと思えることが多く、
また、水を大量消費している東京都民として、水の大切さを噛み締めるとともに、
水源の保全にも積極的に取り組む必要があると感じています。
社会科見学や自由研究の題材としても最適なスポットだと思います。
ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか^^