【応急給水ステーションや感染症対策まで】水道局の災害対策
1,000万人を超える人口を抱える東京都。
豪雨や地震といった大規模な災害に見舞われたとき、水道に関連する施設に被害が出ると、都民の生活は一気に立ち行かなくなってしまいますよね。
私たちの生活を守るため、東京都水道局では、万が一の災害に備えて、日頃から水道施設の災害対策を行っています。
今日は、東京都水道局が行う災害対策について調べたことをご紹介したいと思います。
目次
災害対策といっても、色々ある
「備えあれば憂いなし」というように、災害対策は予防から始まっています。
災害が起きてない段階からの準備が大切ということですよね。
東京都水道局の災害対策は、以下のように分かれています。
①震災対策
・予防対策
・応急対策(訓練関係)
・応急対策(訓練以外)
・災害時給水ステーションの開設
②テロ対策
③風水害対策
④新興感染症対策
特に震災対策については細かな対策に分岐していることが分かりますね。
また、新型コロナウイルスの世界的流行から、④の感染症対策もクローズアップしたいところです。
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
①震災対策
震災対策の内訳は、主に災害発生前の予防段階と、災害発生時の応急段階に分けられます。
予防対策
まず予防対策には、配水管の耐震化や水道施設の自家用発電設備の増強などが含まれます。
東京都水道局が管轄する配水管路は27,000kmにも及ぶのですが、どのくらいの距離なのか想像がつかないですよね。
地球一周が約40,000kmですから、その70%近い距離の配水管をメンテナンスしていることになるんです。
途方もない距離に感じますが、医療機関・首都中枢機関・主要駅・災害時の避難所等への供給ルートを優先しながら、配水管の耐震化が進められています。
<耐震継手管>
現在日本で使用されている水道管の6分の1が耐用年数を超過されていると言われていますから、災害対策として水道管の刷新・耐震化の促進が求められているといえるでしょう。
また、水道施設の自家発電機能も重要です。
東日本大震災時の計画停電を覚えてらっしゃる方も多いと思いますが、東京都の多摩地区においては約9,000件の断水及び約25万件超の濁水が発生したそうです。
水道施設が自立して電力を確保することは、災害下の生活インフラのために重要ということが分かりますね。
その他にも、貯水池の整備・強化などが災害予防対策として行われています。
普段から水の汲み置きをしておこう
私たちにできる震災予防対策があります。
それが「水のくみ置き」です。
人間は1日に3リットルの水が必要とされていますから、家族の人数×3リットル×3日分を目安に、ペットボトルなどに水をくみ置いておきましょう。
・清潔な容器に、口元いっぱいまで水道水を入れる(空気に触れさせない)
・浄水器を通したり、煮沸した水は入れない(消毒用塩素が除去されるため)
・常温で3日経った水は洗濯や掃除用として使い、新たにくみ置く
もし災害が起こり生活用水が確保できなくなったときに活躍する「水のくみ置き」、防災グッズと一緒に用意してみてくださいね。
応急対策
東京都水道局では、災害発生を想定した対応訓練を年間350回も行っているそうです。
様々なシチュエーションを想定し、夜間・休日の対応や、割れた水道管の復旧訓練など、日々対応力の強化を進めているんですね。
街を歩いていると、たまにこんな場所を見かけます。
「災害時給水ステーション」といって、震災で断水した際に水が配られる場所です。
都内に215箇所整備されているそうです。
給水ステーションの場所は東京都水道局のHPで確認することができます。
自宅の最寄りの給水ステーションの位置を確認しておくといいですね。
こういった専用の給水ステーションのほか、
・給水車
・消火栓
・避難所応急給水栓
を使って、避難している人に水が供給されます。
災害時にタンクなどを持って給水車に人が並んでいる様子を見ることがありますが、災害時の給水に迅速に対応できるよう、準備がされているのは心強いですよね。
②テロ対策
東京オリンピックを見据え、強化されているのがテロ対策です。
様々な場所・施設でテロ対策が講じられている中、浄水場の監視体制を強化するとともに、「爆弾など不審物が発見された」「火災が発生した」といった具体的なシチュエーションを想定した訓練が行われているそうですよ。
日本人にとってはテロという言葉はピンとこないかもしれませんが、様々な問題を想定して対策をとっているんですね。
③風水害対策
「風水害=大雨、洪水、強風、高潮、波浪などによる自然災害」を指します。
水道局における風水害対策とは、浄水場や給水所といった施設が浸水しないよう、施設の入り口に止水堰や防火扉を設置したり、施設の窓を強化ガラスにするといった対策が該当するそうです。
④新興感染症対策
2020年の新型コロナウイルスの大流行により、感染症対策について気になる方も多いですよね。
「水道水がウイルスの感染源になるのか?」という質問については、「ウイルスに有効とされる塩素消毒を徹底する」という回答になります。
一般的に、塩素消毒によりウイルスの感染力が消滅するそうです。
コロナウイルスはもちろん、エボラ出血熱やMERSといった様々な脅威に対し、ガイドラインを作成して対応してくれています。
まとめ
水は私たちの生活になくてはならないものです。
災害に見舞われると真っ先に困るのが、水の調達でしょう。
東京都水道局の震災対策は東日本大震災の教訓をもとに強化が続いていることがうかがえます。
震災対策以外の各対策を含め、様々な災害の可能性が考慮されていることが分かりますよね。
災害対策は意識向上から始まります。
例えば家族みんなで給水ステーションを探してみるとか、水の汲み置きを始めてみるとか…。
大都市東京に住む都民として、水道局の対策を知るとともに、自分たちにもできることを探してみましょう。