ベランダの排水口が詰まった!?思わぬトラブルの対処法

日頃見落としがちなベランダの排水溝。
雨の多い季節に詰まったり流れなくなったりして困ったことはありませんか?

特に集合住宅の場合は、お隣と共用であることも多く、トラブルに発展しやすい箇所でもあります。

たかがベランダの排水溝と放っておくと、配管トラブルにまで影響することもあります。
今回は、なかなか知る機会のないベランダの排水溝のシステムとお手入れの方法について考えてみましょう。

意外に知らない、ベランダの集水メカニズム

まずは、ベランダの集水の仕組みについてご説明します。

雨どいの構造

屋根に降り注いだ雨水は、軒どいなどを流れ集水器に集められ、
配管の中を下って、最終的に排水されます。


(集水器。屋根のコーナー部分などでよく見かけますよね)

排水されるまでの間には、このように多くのプロセスを経るため、
どこか一か所でも詰まったりうまく流れなかったりすると、
問題が雨どい全体に広がってしまいます。

集水器は「マス」「じょうご」などと呼ばれることもあり、
軒どいなどを流れてきた雨水を、さらに配管に流すための受けの役割を果たしています。

軒どいと集水器の間には大きなゴミを通さないためのこし器がついていますが、
簡易的なものであることが多く、砂や葉など小さなゴミは通してしまいます。

集水器を通った水が通る配管は、数か所で曲がりながら排水溝につながっています。
建物の構造や配置によっては、曲がる箇所が多くなることもあります。

この配管の曲がった箇所を「エルボ」と呼びますが、
土や砂などが堆積しやすいのも、この「エルボ」の部分です。

勾配を使った排水メカニズム

ベランダの集水メカニズムは、基本的には勾配(こうばい)を利用していします。

住居側から排水の溝へ少し下り坂の構造になっており、
この傾きに沿って水を流す仕組みです。

また、水が流れる溝自体にも傾きが付けられており、
排水溝に向かって雨水が自然に流れるように設計されています。

ベランダで植物などに水をやると、流れ出た水が自然と排水溝の方へ流れていきますよね。
これも勾配のおかげです。

逆に考えると、排水には特別な機械や装置などがあるわけではなく、
重力を利用した簡単なシステム。
つまり雨どいや排水溝などのメンテナンスが、何よりも大切といえますね。

ベランダの排水溝、よくあるトラブル事例

ベランダの排水溝にありがちなトラブルの事例を紹介します。

集水器の詰まり

ベランダの排水溝トラブルで最も多いものが、
水が流れない、詰まったというものです。

ベランダは屋外ならではの土や砂、落ち葉などが飛んでくることもあります。

また、ベランダに洗濯物を干すご家庭では、
洗濯物の糸くずや洗濯バサミなどが排水溝に落ちていることが多いです。

ベランダはエアコンの室外機から出る風などで吹き溜まりとなりやすく、
ゴミやホコリが固まって排水溝をせき止めてしまうこともあります。

特に戸建て住宅の場合、植物の根などが排水溝や配管などに入り込むこともあります。
水が流れなくなり排水溝の蓋を開けてみると、
木の根がびっしり張り巡らされていてびっくり、というケースもあります。

見落としがちなベランダ掃除ですが、
排水溝の詰まりを放っておくと、予想しないトラブルに発展する恐れもあります。

例えば、配管のエルボ箇所に土などが堆積し続けることで、
配管同士を圧迫しうまく接続されず水漏れするなどの事例も考えられます。

配管からの水漏れは美観を損ねるだけでなく、
外壁などへも汚れが飛散するなどの悪影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。

集合住宅でのベランダ排水溝の詰まり

集合住宅では、一戸にひとつずつ排水溝が設置されていることは少ないようです。
建物の両端にのみ排水溝が設置されている場合が多いです。

そのため排水溝のない居宅では、
隣家の排水溝が詰まっているため水が流れないなどのトラブルが多くみられます。

また集合住宅のベランダはスペースが限られており、
ガーデニングや洗濯物を干すなどベランダを使う用途や頻度が比較的高くなります。
そのためベランダにゴミもたまりやすくなりがちです。

特に集合住宅でペットを飼っている場合、
動物の毛などがベランダに溜まることがあるため注意したいですね。
またベランダでのペットの排泄は、マンションの管理規約などで禁止されていることが多いです。

一人暮らし用の集合住宅などに多いのが、ベランダに洗濯機を設置するケースです。
ベランダの排水溝はもちろんですが、洗濯機側の排水ホースなどにも、
屋外ならではのゴミが溜まりやすい状況です。

特に車通りの多い道に面した場所ではホコリなどが蓄積しがちです。

ベランダの排水溝と合わせて、洗濯機の排水回りも定期定期にチェックしたいですね。

排水溝が詰まってしまった時の対処方法

もし、排水溝が詰まってしまっている場合、
どのように対応すればいいのでしょうか?

ゴミや土を取り除く

もしベランダの排水溝が詰まってしまったら、
すぐに排水溝に詰まっているゴミを取り除きましょう。

排水溝の穴が小さくて手が入らない場合は、
使い捨ての割りばしなどを使ってゴミを取り出します。

排水溝の中で土と落ち葉が腐葉土化してしまっている場合もありますので、
丹念に掃除をする必要があります。

植物の種などが飛んできて、中で雑草が生えていることもあります。
その場合は雑草と土の両方をしっかり取り除きましょう。
取り出したゴミは水気を切ってから捨てるとよいですね。

配管のL字箇所は詰まりやすい

配管のエルボ箇所はL字に曲がっているため、
特に土やゴミなどがつまりやすい箇所です。

割りばしで大きなゴミを取り除いたら、水を流して配管の中をきれいにします。
このとき、高圧洗浄機の使用は控えましょう。
水圧が強すぎて配管を破損したり、配管のズレを生じる可能性があります。

普通のホースなどで水を流し、
詰まりが解消され水が問題なく流れるかを確認できたら、応急処置は完了です。

排水溝のトラブルを引き起こさないための対処方法とは

なるべくなら避けたい排水溝トラブルですが、
排水溝の詰まりを防ぐために、どのような対処があるのでしょうか。

定期的に清掃する

排水溝のトラブルを未然に防ぐには、定期的な清掃がいちばんです。
年4回を目安に、季節の変わり目に行うとよいでしょう。

エアコンの使用が多い夏と冬は室外機からの排水も多く、
ベランダに汚れが蓄積しがちです。

また、台風など雨の多い季節の前にも排水溝を清掃することをおすすめします。
排水溝が詰まってしまうと、雨水が流れずベランダが水浸しになってしまう恐れがあります。

戸建て住宅のバルコニーも、排水がうまくいかず雨漏りになりやすい箇所です。
シーズンごとのお掃除を心がけましょう。

汚れがたまりやすい場合は、洗浄剤を使って清掃しましょう。
この場合の洗浄剤は、配管を傷めないものにします。
例えば重曹とクエン酸などを組み合わせると、よく泡立ちしっかりと汚れを落としてくれます。

ただし、集合住宅の場合は、掃除の排水が隣家のベランダに溢れないよう注意しましょう。

ストレーナーを設置する

集合住宅のベランダなどでは、排水溝にゴミがつまらないようにストレーナーを設置するのも有効です。
ストレーナーといっても、目の粗いネットを排水溝のサイズにカットし、丸めた簡単なものでOKです。
糸くずや落ち葉など大き目のゴミをキャッチしてくれます。
ストレーナーを使い捨てにして、定期的に交換するのもよいですね。

ストレーナーを設置すると、隣家へゴミが流れていくことを防ぐこともできます。
集合住宅のベランダは専有部分と思われがちですが、
実は共有部分であることがほとんどです。

非常時などには居宅ごとにベランダを仕切っている扉を破って避難するため、
居住者のみ使用できる共有部分という位置づけになっています。
そのため排水溝も共有であることが多いのです。
共有で使う排水溝、こまめなお掃除できれいに使いたいですね。

まとめ

日頃見落としがちなベランダの排水溝ですが、重要な役割がある大切なものです。
ですが、屋外にあるため意外に汚れがたまりやすい部分でもあります。
特にベランダをいろいろな用途で使う集合住宅では、共有部分として気を遣いたい箇所でもあります。
ベランダの排水溝から無用のトラブルに発展しないよう、定期的な清掃を心がけたいですね。