【前編】東京都水道歴史館に行ってきた!
東京都文京区にある「東京都水道歴史館」をご存知ですか?
江戸以降の水道の発展について学べる歴史館で、東京都水道局が運営しています。
私たちが普段何気なく使っている水道が、どのような苦難を乗り越え整備されていったのか学ぶことができ、とても勉強になりました。
今回は東京都水道歴史館の訪問レポ記事(前編)です。
目次
東京都水道歴史館について
所在地: 〒113-0033 東京都文京区本郷二丁目7番地1号
入館料: 無料
休館日: 毎月第4月曜日
私はJR御茶ノ水駅から向かいましたが、地下鉄各線も使えるアクセスの良い場所にありました。
使いやすいルートから行ってみてくださいね。
立派な外観です。
公式サイトにアクセスマップもあります。
受付で手の除菌、検温を済ませて入館します(コロナ対策)。
マスコットキャラクターもマスクをして、感染予防しています(笑)
名前は「すいてき君」。
まずは江戸時代の上水整備を知る
順路は2階からなので、階段かエレベーターを使って2階へ。
平日の午前中に行ったので、空いていてラッキーでした^^
家康からの命を受けて整備された江戸の水路
家康が江戸に移ったとき、江戸の町の上水を整備する必要性を強く感じました。
そこで、江戸の上水開発を任されたのが大久保藤五郎という方。
家康にお菓子を献上中の大久保さん(右)。
(左下のお釜は、上水整備のあとに家康から与えられたものだそうです)
小石川上水(のちに神田上水)の整備に尽力します。
当時の地図だとよく分からないのですが、東京の地形に合わせてライトアップされた模型を見ると、小石川上水の規模がよく分かります。
江戸の中心部に近いところを整備したんですね。
このあと、約100年に渡って、江戸の上水整備が続けられることになります。
玉川上水の誕生
江戸の水道需要は高まり続け、江戸から西に10里(約40km)のところにある玉川から水路を引く計画が持ち上がります(のちの玉川上水)。
2人の兄弟の発案により成し遂げられた大事業です。
なんと、ここからはアニメや人形劇で解説が聞けます!
とても凝った作りです。
語り部のおじいさん。フォッフォッフォ…。
玉川上水の整備は困難を極め、大きなトラブルが少なくとも2回起こったそうです。
せっかく掘り進めた水路に水を入れると、水がどんどん地面に吸収されてしまったり…
資金が底をつき、兄弟が自邸を売り払ったり…
こうした困難を乗り越え誕生した玉川上水のおかげで、江戸にさらに多くの水が供給できるようになりました。
兄弟は「玉川」の姓を与えられ、歴史に名を刻んだわけですが、
玉川兄弟だけでなく、途方もない数の人々が工事に携わったはずです。
当時の皆さんの努力に頭が下がるばかりです。
その後、玉川上水はさらに細かく分岐していき、青山や三田にも水路が開拓されることになります。
細かい上水整備は時代がくだったあと、なぜか廃止されてしまいます(理由は諸説あり)。
そのため、当時は「水売り業」が盛んだったようで、玉川上水などから運んだ水を桶で売り歩く商人がいたそうですよ。
上水配管はこんな形だった
大きな水路から引き込んだ水は、江戸の町の中をどのように流れていたのでしょうか。
当時、世界的に見て高いレベルにあった江戸の水道設備。
地図上の水色のラインが、江戸時代末頃の江戸城周辺の上水配管網だそうです。
江戸時代、すでにかなり入り組んだ配管設備になっています。
ちなみに、現在の皇居周辺の上水配管網を重ねてみるとこうなります。
(白いライン部分が現在の上水配管網)
さすがに現在のレベルと見比べるのは申し訳ないですが、江戸時代の上水配管をベースにしているのが分かりますよね。
次に、上水配管の形・素材についてです。
歴史館には出土した配管の実物が多数展示されていました。
水路から分岐し、こうした木製の配管が江戸中に張り巡らされていたんですね。
当然、現代の配管と同じ素材などではないのですが、
「やっぱり木なんだ…この中を水が通っていたのか…」と驚いてしまいます。
木の配管は、同じく木の継手によって長く繋げられていたそうです。
(木の継手…やっぱり木なんだ…)
(このように、はめ込んで繋ぐ)
素材は、比較的固い松やヒノキがメジャーだったようです。
配管内の水は、途中の中継点の桶のようなものに溜まり、分岐を繰り返しています。
技術が進んでいたことが分かりますよね。
中継点で水が溜まる木の桶。
配管が木、継手も木なので、どうしても水が漏れ出てしまうこともあったようですが、
その穴を塞ぐのもまた木の役目だったようです。
(おがくずを配管の隙間に埋め込んで、水漏れを防止)
勾配を利用した技術力の高い配水システム
旧都庁周辺で出土した当時の配管の一部が再現されています。
(ジオラマ)
勾配を利用し、効率よく配水する仕組みを整えていたんですね。
当時の技術力の高さが見てとれます。
長くなってしまったので、後編に続きます!!