マンションの修繕積立金、使い道をご存知ですか?

分譲マンションに住んでいると、毎月支払う「修繕積立金」
何となく意味は分かるけれど、実際何にどう使われているお金か知らない方も多いのではないでしょうか。
修繕金を何に使うかは、マンションの管理会社や理事会任せ、という方もいるかもしれませんね。

私たちのマンションを快適に保つため、有効活用したい修繕積立金ですが、今回は「水回り」に使われる修繕費にスポットをあててみたいと思います。

修繕積立金って何?


修繕積立金とは、分譲マンションで建物の共有部(壁、屋上、エントランスなど)を維持・修繕するために行われる「大規模修繕」などに必要な資金をまかなうため、毎月居住者から徴収して積み立てておくお金のことです。

大規模修繕工事は、物件によっても異なりますが、10~15年に一度のタイミングで行われるのが一般的です。
各マンションで長期修繕計画を作成し、30年程度にわたる試算をしています。
マンション購入時にはいまいち、ピンとこない計画かもしれませんが、必ず内容を確認しておくようにしましょう。
※新築マンションでは、入居時に「修繕積立基金(修繕積立準備金、修繕積立一時金などとも呼ばれる)」として数十万円程度を徴収することがあります。

修繕積立金と管理費の違い


ちなみに、分譲マンションを購入すると、毎月、修繕積立金とは別に「管理費」を払うことになります。
これは物件の敷地、建物の共用部分、共同で使用する施設や設備などの維持管理に必要な経費のことです。
大規模修繕ほどお金はかからないけれど、建物の維持管理に必ず必要な「清掃費」などが含まれます。

修繕積立金は何に使う?

修繕積立金の使い道は、国の規約により決められています。

修繕積立金の使い道
①定期的に計画をたてて行う修繕
②不測の事故や事情により必要となった修繕
③敷地・共用部分の変更
④建物の売却・敷地の売却にあたる調査
⑤その他敷地及び共用部分等の管理に関して、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

また、これら5つのために借入をした場合は、その返済に使うこともできます。
どんなものが該当するのか、ひとつずつ見ていきましょう。

①定期的に計画をたてて行う修繕


修繕積立金のメインの使い道が、定期的に行われる「大規模修繕」です。
時間の経過とともに、風雨などにより建物は劣化していきますよね。
それをあるタイミングで修繕するのが大規模修繕です。

分かりやすいところでいうと、建物の壁の清掃、塗装などがあたります。
足場とネットが張られたマンションを見かけることがあると思いますが、そのマンションは大規模修繕の途中ということですね。

②不測の事故や事情により必要となった修繕

例えば、地震によって壁にヒビが入ってしまっただとか、豪雨で植栽がダメージを受けた、といった場合に、緊急の処置に使われることがあります。

居住者の生活を快適に維持するために使われるのが修繕積立金なんですね。

③敷地・共用部分の変更


敷地・共有部分のリフォームに使用することもできます。
年数が経ったマンションは、きれいにしていたとしても、全体的に古めかしくなっていくものです。
また、時代の流れとともに必要性が増す事案もあります。
例えば耐震工事、セキュリティーの強化、バリアフリーの整備などです。

リフォームすることでマンションの資産価値向上を狙えるので、居住者の利になる使い方といえます。

④建物の売却・敷地の売却にあたる調査


建物を売却・建て替えするときに必要な調査費用のことです。
※建物や敷地全体を売却・建て替えする場合の調査費用であり、居住者が自宅(占有部分)を売却するときの調査費用は該当しません。

⑤その他敷地及び共用部分等の管理に関して、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

①〜④に該当しなくても、居住者全員の利益につながるような管理に関係する支出のことです。

水回りに関係する修繕積立金

マンションの修繕の種類は多岐に渡ります。
例えば…

・壁…塗装/下地補修/防水加工
・屋根…防水加工/屋上防水加工
・床…廊下や階段、バルコニーの修繕
・建具関連…手すり等建具の修繕
・機械設備系…エレベーター点検・修理/機械式駐車場整備/消防設備整備など
・共有部リフォーム…ポストや掲示板等の修理/管理室内装/エントランス内装

などなど、挙げていくときりがありません。

そんな中、水回りに関係する修繕積立金の使い道には、以下のようなものが挙げられます。

水回りの修繕の一例
①給水関連…給水管の洗浄、更新/給水ポンプのメンテナンス
②排水関連…排水管の更新/排水ポンプのメンテナンス/汚水や雨水本管
③貯水槽の整備
④量水器関連
など

①給水関連

マンションにおいて、水を使わない日はありません。
時間が経つにつれ、吸水管内部が汚れたり、サビたりすることで、赤水が出ることもあります。
また、給水管自体が劣化し、漏水したりもします。

給水管の寿命は、素材にもよりますが10〜30年程度です。
その間にも、管内部の洗浄等を行うマンションがありますが、どこかで必ず管の入れ替え=更新が必要になります。

そして、水を汲み上げる給水ポンプは機械系ですので、当然機器の故障や不具合も出てくるでしょう。
給水ポンプの修繕目安は15〜20年とされています。

②排水関連

給水に比べるとあまり気にされることの少ない排水関連ですが、こちらも快適な暮らしの維持には欠かせない設備です。
生活排水を流す排水管に加え、雨水専用の雨水管などがあります。

③貯水槽の整備


貯水槽(受水槽とも言われる)は、水道本管から引き込んだ水を一定量貯めておくタンクのことです。
マンションであれば1階の敷地内や屋上に置かれることが多く、白いブロックを組んだような貯水槽を一度は見たことがあるのではないでしょうか。

貯水槽は、日常的な点検に加え、年に一度ほど清掃されます。
また、20〜25年を目安に取り替え=更新作業が行われます。

マンションのなかには、水道本管から各戸に直接水を引き込む給水タイプもありますが、貯水槽を設置している場合にはこういった点検・清掃・更新費用がかかってくるのです。

④量水器関連


量水器(水道メーター)の維持管理は、水道局ではなくマンション側の責任になります。
おおよそ8年を目処に取り替えることになっており、ほかの給水設備のメンテナンスと抱き合わせで行われることも多いです。

まとめ

ご覧いただいたように、マンションの修繕には様々な種類があり、水回りに注目するだけで多くのメンテナンス項目があるとお分かりいただけたかと思います。
毎月何となく徴収されているかもしれない修繕積立金ですが、私たちの暮らしを快適にするための大切な費用だったんですね。
もしお住まいのマンションの修繕関連に興味・疑問がある場合は、理事会に参加してみたり、マンションの管理会社に問い合わせて質問してみてもいいでしょう。