水道工事、費用の相場はいくら?どんなことをするの?〜新築・改築などで水道工事が必要な方へ〜

新築やリフォームの際に重要な水道工事。
とはいえ、普段の生活の中で経験することは少ないものです。
そのため、いざ水道工事となったとき何をすればよいのかわからないですよね。

今回は、水道工事の仕組みや、必要な手続きなどについて解説します。

ときには行程全体に影響を及ぼすこともある大切な水道工事について、
流れと要点をおさえて、スムーズな新築・改築を目指しましょう。

水道工事が必要なケース

そもそも、水道工事はどのようなときに必要になるのでしょうか。

新築での水道管の引込工事と、
リフォームなどの屋内配管工事の代表的な2パターンについて見ていきます。

新築工事などの水道管引き込み工事

新築工事の際には、水道管の引き込み工事が発生しますので、
それに伴い水道工事も必要です。

通常、公道の下には水道本管が張り巡らされています。
これはその土地の地方自治体が管理するものです。
この水道本管と新しく建てる家で使う水道管を接続する工事が、
新築の場合に必要な水道工事です。

家を建てる土地まで、あらかじめ水道管が引き込んであれば、
大掛かりな引き込み工事は必要ありませんが、その土地に初めて家を建てる場合などは必須です。

また水道は自治体が管轄しますので、
工事にあたっては自治体への申請手続きなどが適宜発生します。

リフォームなどの屋内配管工事

比較的規模の大きなリフォームでも、水道工事が発生することがあります。

この場合は、水道メーターから各水道設備までの工事です。
キッチンやバスルームなど、水回りの間取りを変更するときには、こうした工事が必要です。
このような室内の水道工事を「屋内配管工事」と呼ぶこともあります。

なお、家の敷地内で起こる水道トラブルも、水道工事の範疇です。
トイレの詰まりなども水道工事会社に依頼することになります。

水道工事の流れ

小さなトラブルから新築の水道管引き込みなどの大規模工事まで、さまざまな種類がある水道工事。
高い専門性が求められる工事ですが、
どのような会社に依頼すればいいのでしょうか。

工事できるのは自治体の指定を受けた水道工事会社のみ

水道工事は、重要な生活インフラである水を扱うこと、
また水道本管の管理は自治体が行うことから、
自治体の指定を受けた水道工事会社のみに許可されています。

「指定排水設備工事事業者」などの表記を目にしたことがある方もおられるかもしれませんね。
これは国が定める全国一律の条件に適合する事業者に対し、自治体が水道工事を認める制度です。

多くの自治体では、指定工事会社の一覧をホームページなどで公開しています。
公開されていなくても、自水道を管轄する自治体の部署に問い合わせると、
近隣の工事会社を紹介してくれるでしょう。

余談ですが、各自治体は生活を支える様々な業者への連絡網を持っています。
なんでもインターネットで自分で調べるのが当たり前の世の中になりつつあるとはいえ、
時には自治体に問い合わせて頼ってみるのもありです。

例えば家にネズミなどの害獣が出てきた際の駆除業者探しなども、
自治体で紹介してくれる時があります。
どうせ無理だろうと諦める前に、悩みを相談してみると、
案外簡単に解決するかもしれませんよ。

工事会社へ依頼後、自治体への申請が必要

水道工事にあたっては、自治体への申請が必須です。
定められた書類を作成、提出し、自治体での審査などの行程が発生するため、その分時間もかかります。

書類全般は新築であれば工務店など、
改築であればリフォーム会社や水道工事店などが準備しますが
施主としての捺印などは必要になりますので、あらかじめ頭に入れておくとよいですね。

自治体に水道工事を申し込むと、納付金の納付書が送付されます。
この納付金の入金をもって、自治体側は工事申込みがなされたとみなします。

その後、自治体が工事許可証を発行、場合によっては道路使用許可なども必要になります。
その道路使用許可などもおりたところで、いよいよ水道工事に着手となります。

生活インフラである水は、多くの人が共同で使うものです。
そのため手続きも少し煩雑なものになっています。

とはいえ、施主であるみなさんが直接申請を行うケースはほとんどありません。
通常は、工事会社などが代行して行うものです。
しかし、自治体への申請や許可などに時間がかかるという認識を持っておくと
工事の全体像が把握しやすくなるでしょう。

竣工後には、自治体の完成検査など

申請の手続きを踏み工事に着手、無事に工事が完了したその後にも、また必要な手続きがあります。
それは自治体による完成検査です。

工事が完了すると工事会社が自治体へ完成届、もしくは竣工届を提出します。
自治体はそれをもとに、ちゃんと申請、許可したとおりの工事内容かどうかをチェックするのです。
それを「完成検査」と呼びます。

完成検査の終了後、自治体による水道メーターの取り付け、その後いよいよ開栓となります。

水道工事には、思いのほか必要な手続きが多いということがおわかりいただけたかと思います。
工事会社のスケジュールに加え、自治体の審査や完成検査など時間もかかるため、
余裕を持った申し込みがおすすめです。

水道工事の費用の相場

気になる水道工事の費用ですが「ずばり、一律いくら」ではなく、状況によって費用が異なるのが現状です。
というのも、水道本管と引込箇所までの距離などによって条件が異なるためです。

水道工事には工事費用だけでなく、分岐管理手数料や設計手数料なども発生します。
これらは自治体によって呼び名が異なりますが、金額は1万円未満の場合が多いようです。
水道工事には工事費だけでなく、その他の手数料も発生するということは覚えておきたいですね。

ちなみに、宅地条件によっては不動産会社が水道工事費を把握しているケースもあります。
不動産広告に「上下水道引込工事負担金30万円別途」、「下水道負担金20万円別途」などと掲載されている場合もありますので、
はじめに確認しておくとよいでしょう。

新築の水道管引き込み工事

新築の場合、水道引込箇所などにもよりますが、
水道工事の相場は約30万円から50万円が一般的です。

一般的には、水道本管から1メートル引き込むのに約1.5万円と言われますので、
工事をされる現場の距離がわかれば目安の金額を計算することは可能です。
例えば、水道本管から引込箇所までの距離が20メートルの場合は、約30万円ですね。

ただし、繰り返しになりますが水道本管からの距離や深さ、水道管の口径やその他諸条件によっては、
100万円以上になったというケースもゼロではなく、
費用はケースバイケースと考えておいてください。

リフォームなどの屋内配管工事

リフォームなどの屋内配管工事の場合は、本管からの引込が不要なため、
工事費は新築の場合より安くなることが多いです。
相場は約10万円から20万円といわれています。

経験のある水道工事会社であれば、ケースバイケースの相場を把握しているかもしれません。
費用が心配な際は、事前に質問しておくとよいでしょう。

水道工事にまつわるトラブル事例

残念ながら、水道工事にまつわるトラブルが発生することも。
どういったトラブルが考えられるのか、把握しておいてください。

不動産広告の売値に水道工事費用が含まれていない

不動産広告に掲載の売値には、水道工事費用が含まれていないことが多いようです。
注意書きなどの欄に「水道工事負担金別途」などと書かれていることがあります。

このようなケースで、「掲載の売値と実際にかかる費用が違う」とクレームになるケースはよくある話です。

水道工事にかかる費用は小さいものではないため、その気持ちもよくわかります。
ただこれまでご説明のとおり、工事費用は現場の状況によっても異なるため
はっきりとした表記が難しいのも事実。

新築などの契約では、契約書にサインの前に
「重要事項説明書」の記載をしっかり確認することを強くおすすめします。

工事に伴う断水の連絡ミスで近隣からのクレーム

リフォームもそうですが、特に新築の場合には工務店や各種の工事店など関係者が多くなります。
中には連絡ミスで大切な伝達事項が抜け落ちてしまうことも。

本来あってはならないことですが、
断水の連絡が近隣の住宅になされておらず、クレームになってしまうという話もあります。
ご近所付き合いは大切ですから、こういったトラブルで関係が悪化するのは避けたいものです。

水道本管からの引込工事の場合は、よくよく注意してもらうように、工事会社に念を押しておくと安心ですね。

水道工事のスケジュールと引き渡し日のスケジュール調整

リフォームや新築で、設備などは完工したにもかかわらず、
水道工事だけが遅れているというケースも多く見受けられます。

水道工事には自治体への申請が必要で、工事前の許可や竣工後の完成検査を待つ時間が発生します。
そのため時間がかかりやすく、他の行程の足を引っ張ってしまうこともあります。

水道が開栓しなければ、お風呂回りなどの住宅設備の試運転もできず、
その分引き渡しが後ろにずれこんでしまうのです。

現在お住まいの住居の契約もあり、そうなることは極力避けたいですよね。
もしスケジュールが気になった際は、工事会社や工務店などに都度確認をとるとよいでしょう。

まとめ

普段あまり経験することのない水道工事。
しかし新築や改築の際には欠かせない重要な工事です。

ただ自治体への申請や手続きの煩雑さなどからトラブルを招きがちなのも、この水道工事です。
水道工事費用以外にも各種手数料が発生すること、
自治体への許可が必要なため手続きには時間がかかることなどを
あらかじめ頭に入れておくと、いざ工事となった際にスムーズに進めることができるでしょう。