水道メーターもAI化? IoTの進歩で見える未来の水道の形
目次
水道システムにもIoT導入!メリットと課題を知っておこう
近年、現金を使わないスマホ決済が盛んになっていますね。
AIという言葉を聞く機会も増えて、日常生活のなかでも身近になってきています。
実は、水道の使用量や料金の把握などもIoTで変わっていく時代になりつつあるんです。
今後さらに発展していくだろうIoTによるメリットや残っている課題にはどんなものがあるのでしょうか。
今後の水道料金や水道システムに起こるだろう変化をチェックしてみましょう。
モノとモノをインターネットでつなぐ!IoTがもたらす未来
聞きなれない方も多いかもしれませんので、「IoT」の基本からご説明しますね。
まずは基本をおさえよう!IoTとは何?
耳にする機会が増えたIoTとは、「Internet of Things」の略称で、読み方は「アイ・オー・ティー」と言います。
モノとモノをインターネット上で接続させることで、直接通信しあったり、サービスを提供したりする状態を指します。
接続されるモノには、以下のようなものがあります。
・PCやスマートフォンなどのデバイス
・IPアドレスをもつ機器から検知できるタグがついたもの
・IPアドレスを持つ機器に格納されたコンテンツ
近年のスマホの普及やクラウドサービスの充実に伴って、急速に実用化が進んでいる分野です。
IoTでできる基本は遠隔地からの把握と操作!
IoTによってモノとモノが接続されることで、どんなことができるようになるのでしょうか。
まず離れた場所にあるモノの状態を知ることが容易になります。
取り付けたセンサーで測定した結果を、遠く離れたスマホやPCで受信することができるんです。
また、遠隔地にいながらにして、モノを操作することもできるんですよ。
把握できる情報の内容は幅広く、例えば温度や湿度などを測ることで、環境や気象条件の把握に役立ちます。
また振動や衝撃の強さなどを把握することもできるんです。
遠隔操作ができるので、自宅やオフィスのドアや窓の開閉、鍵の施錠も離れた場所から確認や操作ができます。
位置情報を使って対象の接近や通過を把握することもできます。
防犯や安全確認に使えますよね。
IoTの具体的な活用例を見てみよう
それでは、IoTを活用すると具体的にどのようなことができるのでしょうか。
スマートホーム
電源のオンオフを遠隔操作できます。
例えば、留守中の室温を把握して帰宅前には適温にしてくれるエアコンの導入などがあります。
スマートスピーカー
すでに人気のアイテムとなっていますね。
声をかけるだけで、電気のオンオフや音楽再生などを行ってくれます。
安否確認
家電製品に内蔵された無線通信機によって、使用状況を遠方の家族に通知してくれるサービスが、高齢者の見守りにつながっています。
健康管理
建築現場の労働者に、センサー付きリストバンドを着用してもらうことで労働環境や体調のデータを取得していきます。
作業中に一定の値を超えたら警告を出してくれるので、熱中症などの状態になることを防げるのです。
効率化
工場の電気炉にセンサーを設置し、最適な状態で稼働できるようにコントロールしていく活用法もあります。
データの可視化と活用がもたらすIoTのメリット!
IoTにより、生活の質がグッと向上する可能性を感じていただけたと思います。
IoTのもたらすメリットを深掘りしていきましょう。
データの見える化が進む
いままで職人のカンや経験、個人の判断に任されてきた部分が、客観的なデータとしてはっきりと見える状態になります。
データに基づいた冷静な判断や、素早い解決につながるという点は大きなメリットです。
遠方にいながらにして状態を把握・改善できる
物理的には離れていても、相手の安否確認や健康チェック、設備の不具合の把握などが前より簡単になります。
大きな病気の予防や、不具合の修繕に役立つでしょう。
ムダを省いて効率化できる
バスの位置情報をバス停で乗客が把握できるようになることで、バスの無駄な待ち時間を解消することにつながっています。
コストカット
どの時間帯にどのくらいのエネルギーを、どの機器で使っているのか把握できるので、
今までにムダに使っていた電力や水道の量をカットすることにつなげられます。
IoTのデメリットや課題はセキュリティ
一方で、デメリットも指摘されています。
以下に挙げるデメリットは、今後の大きな課題になっていくでしょう。
セキュリティ面の危険性
IoTが進むことで、セキュリティ面の強化は必須となります。
例えば、自動車のスマート鍵があれば、物体としての鍵は必要なくなり、スマホアプリで自動車に乗れるようになります。
でも、盗用の増加や、充電切れでスマホが使えないと運転できない、などの欠点も指摘されているんです。
セキュリティ対策が不十分なデバイスを狙って、他者に攻撃される恐れもありますよね。
仮に悪意のある第三者からの攻撃を受けた場合、大規模な範囲でIoTデバイスが使用できなくなる恐れすらあります。
都市機能や日常生活がマヒしてしまって、大変な事態になりそうで、少し怖い気もします。
エンジニアの人材不足
IoTを進めるには人材が必要ですが、日本では人材不足も指摘されています。
新しい技術をどの分野でどんなふうに生かしていくのか、エンジニアの能力に期待がかかります。
水道の世界のIoTを見てみよう
日本ではすでにIoTの積極的な活用が進んでいますが、水道の世界ではどうなのでしょうか。
すでに活用されつつある水道の世界のIoT
水道の分野においても、IoTは試験的に限定されたエリアで実施が進んでいます。
例えば、
・水道管の劣化をAIが診断してくれる
神戸市では、地中の水道管の状態を把握するためにAIの活用を始めています。
劣化している箇所や度合いを把握しやすくなりますね。
・工業用水における自動検針
工場にスマートメーターを設置して、検針から料金の決定まで自動化する試みも行われています。
・ポンプやろ過装置にIoT導入
水を使用する施設のポンプやろ過装置がどのくらい汚れているか、センサーで把握し、さらに洗浄まで行ってくれます。
家庭に設置するスマートメーターの登場
家庭にとってイメージしやすいIoT導入と言えば、スマートメーターの活用です。
・水道、ガス、電気の共同自動検針サービス(愛知県豊橋市)
スマートメーターの導入で、現地での検針が不要になり、使用量の検針から料金請求まで自動化される仕組みになっています。
・各戸の水道メーターに自動検針システムを設置(兵庫県姫路市)
クラウド上に水道のデータを収集して、水道局のPCでデータを確認できるようになっています。
離島や山間部など、検針が困難なエリアで特に有益ですね。
スマートメーターのメリット
スマートメーターを使うと、検針が簡単になるだけでなく、遠隔操作で水道の利用や復旧がもっと楽にできるようになります。
主なメリットには次のような内容があります。
・人手に頼ってきた検針業務の負担軽減
・遠隔地のデータも容易に検針できる
・検針から料金算出、請求までの処理をすべて自動化
・無駄な使用量を把握して節水や省エネにつなげられる
・引越に伴う使用停止、再開などの制御を遠隔操作できる
・停電や断水の後に安全を確認しながら復旧が可能
スマートメーターのデメリットや課題
気になる課題は、やはりセキュリティ面のリスクです。
・データの消失や漏洩のリスク
クラウドによるデータの管理や共有に頼ることが多くなるので、消失や漏洩を防ぐためには、セキュリティ面のリスクへの対応が必須となります。
・盗聴や通信への攻撃がありうる
大規模な攻撃を受けた場合、電気や水道、ガスなどが使用できなくなる事態の発生があるかもしれません。
・プライバシーとのバランス
外出や帰宅のタイミングといった生活パターン、さらに家族構成など、住んでいる人の状態をある程度把握できてしまうことで、
プライバシーにかかわる情報が侵害されるのではないか、という不安もあります。
・検針業務を行ってきた人たちの雇用がなくなる
自動検針が100%運用されれば、今まで検針業務にあたっていた人たちの仕事がなくなることになります。
水道料金支払もスマホで!進むスマート化
〇〇payといったスマート決済の普及が進んでおり、水道料金の支払いなども可能になりつつあります。
今後さらに導入が増えるでしょう。
スマート決済のメリット
自宅などにいながら、スマホでキャッシュレス決済が完了する利便性が魅力です。
スマート決済のデメリット
現時点では、対応しているケースが限定的です。
これからスマート決済が広まることで、使いづらさは解消されていくと思われます。
また、現時点で領収証書の交付がないので、その点を不便に感じるケースもあるでしょう。
まとめ
今後、水道の世界でも、どんどんIoTが進む流れになるのは間違いないでしょう。
ムダを把握して節水につなげたり、災害時の復旧に役立ったりするのは嬉しいですね。
さらに電気やガスを含めて都市全体をスマート化していく構想もあり、今までとは全く違った仕組みになっていきそうです。
ただ、新しい技術にはメリットだけでなく、デメリットもあるものです。
今後の展開に注目しておきましょう。