水道工事に必要な資格ってあるの?業者選びに知っておくと安心なマメ知識

毎日の暮らしに欠かせない水道。
ふつうに使えることが当たり前で、もしものトラブルが起こると大変です。

新築や改築の際には水道工事が必要ですが、
水道工事にはさまざまな資格が必要であることはあまり知られていません。

最近では「なんでもできる便利屋」をうたった業者が水道関係の工事も請け負うことがありますが、
資格のない工事業者に頼むことはリスクでもあります。

いざ水道工事が必要になったときに慌てなくていいよう、
どんな資格が必要なのか、あらかじめチェックしてみましょう。

水道工事に必要な資格

水道関連の資格は多く、ひとりの職人が何もかも資格取得するには限界があります。
そこで、最低限必要とされている資格は何なのかをご紹介します。

給水装置工事主任技術者

「給水装置工事主任技術者」は、
水道法に基づき厚生労働大臣が実施する国家資格です。

「給水」とは上水を指し、私たちが調理や洗面、入浴などに普段から使っている水のこと。
水道は公衆衛生を担う大切なインフラです。
そのため水道工事には国家資格の取得が必須条件となっているのです。

さらに、水道管はそれぞれの地域の自治体の管轄であるため、
給水装置工事主任技術者は自治体への登録も必要です。

例えば、東京都では「東京都指定給水工事事業者」として東京都水道局への申請が必要です。
この申請にあたり、「給水装置工事主任技術者」の免状の提出が必須要件となっています。
逆に、自治体への登録がなければ水道工事はできないことになっています。

では、水道工事を頼もうとする業者が、自治体の許可を得ているか気になったときは、
どのように確認をすればよいのでしょうか。

まずは、自治体のホームぺージに「〇〇指定給水工事事業者」として掲載されているかを確認しましょう。
多くの自治体では、水道を管轄する担当部署のホームページに、
「登録水道工事会社」などとという名称で掲載されていることがほとんどです。

もし掲載されていなければ、お住まいの自治体の担当部署に問い合わせるか、
水道工事会社に直接問い合わせて確認するとよいでしょう。

給水装置工事主任技術者の受験資格は3年以上の実務経験で、
毎年10月下旬に全国各地で試験が開催されます。

公衆衛生概論や水道行政など、大切なインフラを扱うために必要な知識が試されます。
ちなみに平成30年度の合格率は37.7%でした。
簡単に取得できる資格ではないため、
業者の信頼性をアップする存在でもあります。

排水設備工事責任技術者

給水装置工事主任技術者と同じように、
下水道関係の工事を行う際に必要な資格が「排水設備工事責任技術者」です。

こちらも給水(上水)の場合同様、国家資格に合格後、
各地域の自治体への登録が必要となります。
水道工事会社によっては、給水と排水の両方で自治体へ登録している会社も多くあります。

管工事施工管理技士

建設工事のうち、管工事に求められるのが「管工事施工管理技士」です。
これも国家資格で1級と2級があります。

管工事とは、冷暖房設備工事、空調設備工事、給排水・給湯設備工事、
ダクト工事、浄化槽工事、ガス配管工事、衛生設備工事
などです。

この資格保有者には、施工計画を作成し、
工程管理、品質管理、安全管理等の業務を行うことが認められます。

1級の管工事施工管理技士は、
工事現場ごとに置かなければならない主任技術者や監理技術者になることができます。

また、建設会社が営業所を設置する際には、
1級の管工事施工管理技士を1名専任させることが必須となっています。

管工事施工管理技士の受験にあたっては、
1級で3年以上、2級でも1年の実務経験が必要です。

ちなみに、平成30年度の1級管工事施工管理技士の最終合格率は17.5%
非常に難関だといえるでしょう。

なお、建設工事で業者が請け負う金額が消費税込みで500万円を超える場合、
別途建設業許可も必要となります。
これは建設業法で定められています。

建設業許可は、個人が資格試験を受験して取得するものではなく、
会社として必要な要件を備えているかどうかの審査を通過して、許可を得るものです。

大規模な工事を行う会社は、それだけの社会的責任が発生し、
その責務を果たせるかどうかも審査の基準のひとつといえるでしょう。

建設業法では、無許可で500万円以上の工事をすると
「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」という罰則が定められています。
大規模な工事をする際には、この点も頭の片隅に入れておくとよいですね。

無資格の業者に頼むリスクとは?

水道工事には様々な資格があることをご紹介しましたが、
なかには無資格のまま水道工事を請け負っている業者がいるのも事実です。

「便利屋」ができる水道工事、してはいけない水道工事

最近、「困ったことに何でも対応する便利屋」をうたう、
生活全般の工事などを請け負う会社が多く見受けられるようになってきました。

暮らしの中の困ったトラブルを、ワンストップで解決してくれる簡便さはとてもありがたいですが、
中には水道工事に必要な資格を保有しないまま工事作業を行う業者も存在します。

消費者トラブルの相談窓口である独立行政法人国民生活センターには、
水道工事に関するトラブルも多く相談されています。

中でも、いわゆる暮らしのレスキューサービスに関する相談事項は、毎年増加傾向にあるといいます。
実際に寄せられた相談内容としては、

・「見積無料」という広告掲載とは異なり見積費用を要求された
・水漏れの相談をしたところ「水道管全体の交換が必要」と高額な見積を提出された
・契約を断ってもクーリングオフに応じなかった

など様々です。

もちろん国民生活センターに寄せられる相談事項は特に悪質なものですが、
このようなリスクの可能性があることに留意するとよいでしょう。

大切な自宅の水道工事ですから、注意するのにこしたことはありません。
思いがけぬ被害にあわないようにするには、

・広告の内容を鵜呑みにしないこと
・複数の業者から見積をとること
・日頃から情報収集を行うことが大切

だと、国民生活センターはアドバイスをしています。

トラブルが起こったときは、つい慌てて早急な判断をしてしまいがちです。
水道工事について予備知識を持っておくと、もしものときに落ち着いて冷静に対処できるでしょう。

業者の保有資格を確認する方法

水道業者は数がとても多いのですが、
必要な資格を所有している、信頼できる業者を探すにはどうすれば良いのでしょうか。

自治体へ登録されているか確認する

水道工事をするには、自治体の指定を受けている必要があることは、ご説明のとおりです。
いざ水道工事が必要になった場合には、
念のため自治体への登録があるか確認することも、
無用なトラブルに巻き込まれないために有効な方法です。

最近は自治体のホームページ上で、
指定水道工事事業者を公開している場合がほとんどです。

自治体の担当部署は、水道局であることが多いですが、
自治体によって名称が異なりますので、
わからない場合は直接自治体に問い合わせるとよいでしょう。

あるいは、水道工事会社に保有資格を確認することもよい方法です。
水道工事会社のホームページでも、保有資格の一覧を公開しているケースがあります。

水道工事会社にとって、自治体の指定工事会社であることは、信頼度を高めるものです。
所有している資格は積極的に公開していますし、
もし直接電話したとしても、お客様からの質問には正直に答えてくれるでしょう。

まとめ

普段あまり触れることのない水道工事ですが、生活に欠かせない大切な工事です。
そのため国や自治体もしっかりとした管理体制をとり、国家資格などを整備しています。

しかし悲しいことですが、中にはそうではない工事会社も存在するのも事実です。
重要なライフラインである水道工事、後悔のないように必要な資格や、
資格の保有状況を確認する手段をあらかじめおさえておきましょう。

そして、万が一のトラブルや新築・改築など水道工事が必要なタイミングで、
スムーズが判断ができるようにしたいですね。